高所トレーニングの科学
「1968年以降、オリンピックおよび世界選手権大会におけるマラソン競技のメダル800個のうち、
95%は高地で生活またはトレーニングをした選手が獲得している。
これにより、持久力競技で成功するためには高所トレーニングが必要であると結論づけられる」
―ジョー・ヴィジル博士(2008年米国オリンピックチーム・ランニングコーチ)
なぜ高所トレーニングは効果的か
-高所トレーニングの科学-
高地でのトレーニングは、
何十年も前から競技力向上を目的として行われてきました。
オリンピック・メキシコシティ大会では米国の走競技記録が次々と更新されましたが、
研究者らはその原因が高地にあることを発見しました。
それ以来、多くのチームや個人が、
準備の一環として高所トレーニングを行っています。
世界的なアスリートから一般まで、
高所トレーニングはパフォーマンス向上のための最良の方法です。
酸素は細胞の主なエネルギー源であるため、酸素濃度の低い環境(高地やその他の低酸素状態)では人体に負荷がかかります。低酸素状態になると、体は少ない酸素で必要なエネルギー量を生産しようとします。そのため、体の酸素利用能向上を目的として、低酸素誘導因子(HIF-1)と呼ばれるタンパク質が様々な反応を起こします。
高所トレーニングの効果を得るには、主に3つの方法があります。①高所での睡眠、②高所での運動、③間欠的低酸素トレーニングです。これらの方法がどのようにあなたの目標達成に役立つかについては、それぞれのページをご覧ください。
これまでに以下のような生理的反応が起こることが明らかになっています:
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肺での酸素吸収量の増加
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腎臓でのエリスロポエチンホルモン(EPO)産生の増加、赤血球生成の活性化、体内での酸素運搬能の向上
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毛細血管拡張による組織、筋肉、脳への酸素供給量の増加
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ミトコンドリア(細胞内の好気性エネルギー生産の中枢)・ミトコンドリア酵素産生の増加と若返りによるエネルギー生産のための酸素利用効率の向上、および酵素による抗酸化防御の強化
その他の効果:
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平均心拍数および血圧の低下
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ヒト成長ホルモン産生および放出の増加
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脂肪代謝の活性化
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フリーラジカル(活性酸素)による酸化ストレスの軽減