高所での運動
高所での運動
低酸素状態での運動は有酸素および無酸素トレーニングを強化することで、
筋持久力や体力を向上させると証明されています。
間欠的な低酸素状態でトレーニングすると呼吸効率が改善し、
酸素飽和状態を維持する能力が向上します。
たとえば選手は、米国デスバレーのような海抜以下でも、
ロッキー山脈のような高地でも、同じように競技に最適な準備をすることができます。
その結果、疲労感は軽減し回復も早くなる為、
トレーニング強度や生理的適応の向上に繋がります。
これまでの研究で、反復スプリント能力の向上、
蛋白同化ホルモン反応の増加、赤血球量の増加等、
スポーツのあらゆる場面で非常に価値のある改善をもたらすことが実証されています。
トライアスロンの男性エリート選手を対象としたある研究では、
標高2,500mで10日間の運動トレーニングを行ったところ、
VO2maxが7%、平均最大パワー出力/体重kg(Wmax)が7.4%増加しました。
他の合法的トレーニング方法でこのような改善が報告されたことは一度もありません。
低地で生活、高地でトレーニング (Live Low - Train High: LLTH)
実際、高地用テントでの睡眠は
全ての人のライフスタイルにも合う
という訳ではありません。
代わりに高地をシミュレーションした高所トレーニングを行うことで、
低酸素状態の生理的効果が得られます。
「低地で生活し、高地でトレーニングする(LLTH)」という方法は、
1930年代にソビエトで開発されて以来、これまでに大きく進化してきました。
近年の研究で、LLTHは有酸素運動と無酸素運動の両方に
非常に有益である事が分かっており、
能動的間欠的低酸素トレーニング(active intermittent hypoxic training)はあらゆる選手の高所トレーニング戦略において、
非常に役立つ大切な要素となっています。
低酸素トレーニングとチームスポーツ
大半のチームスポーツでは有酸素需要と無酸素需要のバランスがとれているため、
低酸素トレーニングは個人やチームのパフォーマンスを向上させるのに適しています。
高所トレーニングの科学について持久系選手の理解は進んでいますが、
チームスポーツでは若干の遅れがありました。
しかし、その流れは今や変わりつつあります。
世界でも有数のスポーツ団体が選手の体力を向上させ、
対戦相手への優位性を得るために、Hypoxicoのテクノロジーを取り入れ始めています。
Hypoxico社は現在、世界各国のプロチームと提携しており既に何度かのチャンピオンリングや
トロフィー獲得に至っています。
すべてのスポーツには、最高のパフォーマンスを発揮するための独自の要求事項があります。
例えば間欠運動を伴うスポーツの場合、主に強さとパワーに頼るもの(フットボールやラグビー等)もあれば、有酸素持久力が重視されるもの(バスケットボールやサッカーなど)もあります。
正しく行えば低酸素トレーニングはこれらの要求を満たし競争相手に対してかなりの優位性を得るため、
非常に有益で100%合法的な方法となります。
言い換えれば低酸素トレーニングはサッカー選手の瞬発力と、
グランツール出場選手やマラソンランナーの持久力との、いずれにも効果的というわけです。
その応用に限界はなく、すべては用いる戦略とプロトコル次第です。
Hypoxico社では、
最も効率のよい適用方法についてのコンサルティングや目標に基づいた提案を無料で行っています。
英国の生理学者ニック・グランサムによる、チームスポーツにおける低酸素トレーニングの効果についての論文を発表されてます。
反復スプリント能力
間欠的低酸素トレーニングの分野における最も興味深い研究として、
エリートラグビー選手の反復スプリント能力(RSA)に焦点を当てた研究が
2013年に英国で発表されました。
この研究では、低酸素状態でスプリントトレーニングを繰り返し行うと、
通常の状態で同じトレーニングを行った場合よりも、
はるかに大きなパフォーマンスの向上が認められました。
主な所見は、低酸素状態での反復スプリントトレーニングにより
以下のような適応がもたらされる事が立証されています。
血流変化の増加が反復スプリントテストでの疲労を遅らせる可能性。
全身のRSAパフォーマンスのさらなる向上につながる特定の分子適応。
疲労困憊するまで反復スプリントを行った場合の血管コンダクタンスの向上。
速筋繊維の増加と利用率の向上。
老廃物の除去と乳酸緩衝能の向上。
嫌気性解糖系活性化(エネルギー源としての筋グリコーゲンの利用効率向上)。
これらの適応による実際の効果として、
チームスポーツにおける瞬発力と持久力の大幅な向上が挙げられます。
その結果、たとえば第4クォーターに突入して対戦相手や対戦チームが疲労しても、
自分や自分のチームは優れたパフォーマンスを維持できるようになります。
持久系スポーツの場合、
レースの後半になっても機敏な動きや反応ができるなどの「余裕」がうまれます。
注目のアスリート
3,810mの高度トレーニングを行うアイアンマンクラス・トライアスロンのジミー・ジョンセン選手
"WBO・IBFスーパーバンタム級王者として君臨するノニト・ドネア選手
高所での運動には以下の効果があることが証明されています:
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VO2maxと乳酸性閾値の向上
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パワー出力とスピードの増加
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持久力とスタミナの向上
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リカバリー所要時間の短縮
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毛細血管増大(密度と長さ)の結果、組織への酸素供給量の増加
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ミトコンドリア酵素増加の結果、エネルギー生産のための酸素利用の効率化
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心拍数と血圧の低下
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ヒト成長ホルモン分泌量の増加
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脂肪燃焼のための代謝促進